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リソース
Novartis NET Web Seminar 最新エビデンスから考える最適なNEN診療ネットワーク(スライド)

2024年4月10日に開催されたNovartis Web Seminarでは「最新エビデンスから考える最適なNEN診療ネットワーク」をテーマに京都大学大学院医学研究科 リアルワールドデータ研究開発講座 松本繁巳先生にご講演いただきました。本コンテンツでは、その概要をスライドでご紹介いたします。

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わが国でペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)が承認されてから3年が経過し、神経内分泌腫瘍(NEN)診療は大きなパラダイムシフトを迎えています。

PRRTは実施できる施設が限られているため、適応となる患者を適切に選択し、早期に治療を提供するには、PRRT対応施設と地域の医療機関との診療ネットワークが欠かせません。

本コンテンツでは、PRRTの現状と課題、その解決策について考えてみたいと思います。

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まずは、NENについて簡単におさらいしましょう。

NENは神経内分泌系細胞に由来する希少癌です。 
発生学的に前腸・中腸・後腸に分類され、特に消化管、膵、肺、胸腺に多く発生します。 
インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマのように神経内分泌物質(ホルモン)を産生する機能性腫瘍もあります。 
NENの病態は多彩であり、症例ごとに異なる経過をたどるため、診断および治療においては複数の診療科による連携体制が必要になります。

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NENの予後は原発部位およびグレードによって異なることが知られています。

こちらは、2010~2014年に米国のSurveillance, Epidemiology, and End Results (SEER) データベースに登録されたNEN患者の全生存率(OS)を原発部位別およびグレード別に解析したデータです。
原発部位別のOS中央値は、小腸NENでは未到達であり、膵NENでは3.5年、肺NENでは0.83年でした。
またグレード別のOS中央値は、G1では未到達、G2では4.25年であるのに対し、低分化型NENでは0.58年と不良でした。

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2024年4月時点で、国内で承認されているNETの治療法には、殺細胞性化学療法剤のストレプトゾトシン、分子標的治療薬のエベロリムスおよびスニチニブ、ソマトスタチンアナログのオクトレオチドおよびランレオチド、PRRT、肝動脈化学塞栓術(TACE)や肝動脈塞栓術(TAE)などの局所療法、手術があります。 
スニチニブは膵NET、オクトレオチドは消化管NETのみに適応があります。 
PRRTは、消化管NETおよび膵NETのいずれにも施行可能です。

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PRRTに用いられるルタテラ®静注は、2021年6月に「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」を適応症として承認されました。

本剤は、ソマトスタチンアナログにキレート剤を介して放射性同位元素を標識した放射性医薬品であり、ソマトスタチン受容体を介して腫瘍の中に取り込まれ、β線を放出することにより腫瘍を攻撃します。

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PRRTの承認から3年が経過し、治療を受ける患者は増加していますが、そのなかで様々な課題も見えてきました。

まず、PRRT対応施設がNETセンター化されていないために、紹介窓口がわかりにくい、チーム医療体制が不十分であるといった問題があります。ハイボリュームセンターに患者が集中する一方で、空床の目立つ施設も存在します。

紹介時の問題としては、紹介の適切なタイミングがわからず、進行状態で紹介されたために治療を完遂できないケースや、紹介元からの情報が不足しているケースがみられます。

また、PRRTは注文締切後のキャンセルができず、他施設への移送もできないため、キャンセル時には高額な自己負担が発生することを周知する必要があります。

フォローアップの課題としては、PRRT終了後も前医に戻ることなく、PRRT対応施設でフォローされる場合があり、外来患者の増加につながっています。また、最終ラインとしてPRRTが施行された場合には、増悪後の終末期ケアまでPRRT対応施設が担わなければならないこともあります。

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では、こうした課題をどのように解決していけばよいのでしょうか。

まず、PRRT対応施設は、NETセンター化し、チーム医療体制を構築して役割分担を明確化することが求められます。

例えば、京都大学医学部附属病院のNETユニットでは、2ヵ月に1回、ウェブ会議システムを活用しながら、周辺の関連施設の先生方とともに、多診療科・多職種によるtumor boardを開催しています。 
NET患者は様々な診療科に紹介されるため、患者を漏れなくカンファレンスにかけるのは容易ではありませんが、電子カルテから直接NETカンファレンスに提示できる仕組みを整えることで、負担を軽減しています。チーム医療を円滑に進めるためには、このようにエフォートレスに運用できるシステムを構築することが大切だと考えます。

また、NETセンターを円滑に運営するためには、患者の長期療養をサポートする施設コーディネーターの存在や、施設の情報公開なども重要です。

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関西エリアを例にとると、NEN診療施設のうちPRRT対応公開施設は10施設にとどまっており、患者の集中は避けられません。

このような状況を改善するためには、IT技術を駆使して紹介元(Spoke)と専門施設(Hub)のネットワークを構築し、患者を分散管理によりフォローアップしていく、いわゆるHub and Spoke型の診療連携が必要であると考えます。 
具体的には、PRRT治療終了後は紹介元に患者を戻して、定期的なネットワークカンファレンスにより情報を共有しながら、両施設で患者をフォローするような診療体制が望まれます。

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PRRT対応施設への患者紹介を円滑に進めるためのポイントは以下の通りです。

PRRTは、今後、より早期のラインで施行されるケースが増えると予想されることから、紹介も早い段階で行う必要があります。 
紹介時には、詳細な治療歴、3年以内に撮像された画像データ、病理レポートに加えて、未染色のスライドやブロックがあれば、それらも再検査のために提出します。

また、PRRT療法の前後は、PRRT対応施設のみで治療するのではなく、紹介医の併診も必要となります。 
PRRT開始までには、通常2ヵ月ほどの準備期間を要します。 
遠方の患者の場合は、治療中の有害事象の観察やソマトスタチンアナログの併用投与を紹介医に担っていただくことがあります。 
PRRT終了後は基本的に紹介元に患者を戻します。 
最終ラインでPRRTを実施する患者の場合は、増悪時のアドバンスケアプランニング(ACP)や終末期医療への対応も必要です。

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まとめです。

NET診療においては、長いpatient journeyのなかで、PRRTをどこに位置付けるかが重要です。現在の治療が奏効している時点でPRRT対応施設に紹介し、早期にPRRTを施行することが望まれます。

また、紹介後は、Hub and Spokeモデルに基づき、PRRT対応施設と紹介医が連携しながら、患者をサポートしていく必要があります。

NETの病診連携は、現在、地域ごとに進められていますが、将来的には全国共通のプラットフォームを構築し、日本全国どこであっても均一の治療が提供できるようになることが理想的です。

PRRT対応施設はNETセンター化し、最適かつ効率的に治療を提供していくことが求められます。

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